【下痢~~東洋医学から考える5つのタイプとそのセルフケア方法~~】

下痢は、原因がよくわからないケースが多い症状の一つです。どんな病気や症状にも必ず生活習慣に原因があります。しかしながら、生活習慣は人によって様々なため、下痢の原因は人の数だけ存在することになります。したがって、下痢の原因を見つけていく作業は途方もない作業になってしまいます。

東洋医学のメリットとして、”今の体の状態に応じて病気や主訴の対処ができる”という点があります。これは、今気になっている症状の原因がはっきりわからなくても対処の仕方はありますよ、ということを意味しています。

では、”今の体の状態”をどうやって我々は把握しているのか、といいますと、それは”随伴症状”です。主訴の下痢以外に他のどんな症状をもっているか?、を知る事によって、対処の仕方、つまり、セルフケアを行うツボが変わってきます。

今回は、『下痢』の随伴症状とセルフケアについてまとめてみました。

まず『下痢』を語る上で欠かせないのが、”消化機能”についてです。

東洋医学では、下記のような過程を全て含めて”消化機能”と呼んでいます。

①食べ物が口から入ります。②食べ物が、消化管内で栄養素・水・不要物に分解されます。③栄養素と水が消化管から血管の中へ入り込みます。④不要物は肛門へ送られ、便として体外へ排出されます。⑤血管の中に入った栄養素・水は体中の各細胞へ運搬されます。⑥体中の細胞で栄養素・水からエネルギーを作られます。(下記の図1) 

《急性の下痢》

急性の下痢の原因には大きく分けて下記の2つあります。

(タイプA):食中毒を起こす菌や腐敗した飲食物の摂取によるタイプ。

(タイプB):腸内環境の急激な温度変化によるタイプ。

(タイプA)と(タイプB)の随伴症状とセルフケアのツボについてまとめてみました。

(Aタイプ):食中毒を起こす菌や腐敗した飲食物の摂取によるタイプ。

・要因:食中毒を起こす菌や腐敗した飲食物の摂取します。→これらを除去する目的で大量の水が体の内側から消化管に水分が流れ込みます。→大量の水による下痢が引き起こされます。

・随伴症状:①腐敗臭をともなう下痢が特徴的です。②下痢に未消化物の混入する。③ゲップが腐敗臭または酸っぱい臭いをする。④腹痛を伴う事が多い。⑤下痢後に腹痛が軽減することが多い。

〈セルフケアのツボ〉

  1. 中脘(ちゅうかん)
  2. 内関(ないかん)
  3. 公孫(こうそん)

 

(Bタイプ)腸内環境の急激な温度変化によるタイプ。

・要因:寒冷刺激または温熱刺激により図1中の『③栄養素と水が消化管から血管の中へ入り込みます。』という機能が機能不全になります。→吸収できずに腸内に残った3つの混在物はドロドロの状態になり肛門へ行き、下痢となって排出されます。

 

《寒冷刺激による下痢の要因・随伴症状・ツボ》

・要因

①外因的要因:冷たい雨や雪などの寒さに加え、高湿度の日が続くなど、外的要因により腸内が冷やされ、寒冷刺激を憎悪させます。

②内因的要因:生ものやジュースなどの冷たい飲食物の摂りすぎるなど、内的要因により腸内が冷やされ、寒冷刺激を憎悪させます。

 

・随伴症状:①やや生臭い便。(強烈な匂いはありません。)②サラッとした下痢が特徴的です。③頭痛を伴う事が多い。④食欲が低下します。⑤風邪をひきやすい。

〈セルフケアのツボ〉

  1. 外関(がいかん)
  2. 列缼(れっけつ)
  3. 足三里(あしさんり)
  4. 申脈(しんみゃく)

《温熱刺激による下痢の要因・随伴症状・ツボ》

・要因

①外因的要因:梅雨の時期のような高温多湿の日が続くなど、外的要因により腸内に熱が蓄積して熱刺激が高まります。

②内因的要因:消化に悪い油、糖、酒などの飲食物の摂りすぎると、消化管の動きが著しく低下して腸内に熱が蓄積して熱刺激が高まります。

・随伴症状:①ドロドロした下痢。②匂いがきつい。③腹痛を伴うことが多い。③腹痛後すぐに下痢、特に激しい下痢④食欲がなくなるとは限りません⑤排便時に肛門に熱い熱感あり⑥下痢は黄褐色

〈セルフケアのツボ〉

  1. 上巨虚(じょうこきょ)
  2. 後渓(こうけい)
  3. 霊台(れいだい)
  4. 公孫(こうそん)

 

《慢性の下痢》

 

(Cタイプ)精神的・肉体的ストレスで引き起こすタイプ。

・要因:精神的・肉体的ストレスにさらされると筋肉が緊張状態になります。→これが腸管の筋肉の緊張を高めて、消化管の運動を低下させます。→水分のうまく吸収できなくなります。→腸管に残った水分が下痢を引き起こさせます。

・随伴症状:①側胸部から側腹部にかけての違和感や痛みがでてきます。②精神的ストレスを現在も感じている。③ストレスによるお腹(特に胃付近)の不快感がでます。

〈セルフケアのツボ〉

  1. 太衝(たいしょう)
  2. 外関(がいかん)
  3. 陽陵泉(ようりょうせん)
  4. 申脈(しんみゃく)

(Dタイプ)”(東洋医学的な)消化機能”の全過程が低下しているタイプ

・要因:(Bタイプ)と(Dタイプ)が長期化して、さらにストレスがかかります。→徐々に”(東洋医学的な)消化機能”が低下していきます。→全身の各細胞でエネルギーが作られなくなるとこのタイプに陥ります。

・随伴症状:①慢性的な下痢。②下痢に未消化物が混入する。③長期的な下痢により食欲低下を伴う事があります。④食後に胃付近の不快感があり。⑤体全体が疲れやすい。⑥やる気が失われていきます。

〈セルフケアのツボ〉

  1. 中脘(ちゅうかん)
  2. 太白(たいはく)
  3. 足三里(あしさんり)
  4. 滑肉門(かつにもん)
  5. 天枢(てんすう)
  6. 大巨(だいこ)

(Eタイプ)体全体を気力・体力などの生命活動エネルギーまでなくなっていくタイプ。

・要因:(Dタイプ)が長期化して、さらにストレスがかかります。→そして、エネルギーが全く作れなくなります。→もともも体に備わっている気力・体力などの生命活動エネルギーが徐々に消耗してくことでこのタイプに陥ります。

・随伴症状:①夜明けに腹痛を起こして、下痢をする。②食べ物に注意していても下痢が起こる。③下痢をした後は脱力感がでてくることが多い。④下腹部が冷えてジクジクした痛みがある。⑤手足が冷えていて気になる⑥腰や膝に力が入らない。

〈セルフケアのツボ〉

  1. 関元(かんげん)
  2. 天枢(てんすう)
  3. 滑肉門(かつにもん)

大雑把ではありますが、下痢の5つの状態に区分してみました。自分がどのタイプにあるか、随伴症状から分析することで効果的なセルフケアをすることができます。

もし自分でセルフケアを行ってみて、効果が思わしく出なかった方、ツボの見つけ方がよくわからない方、もっと詳しく東洋医学について学んでみたい方、鍼灸師や漢方薬に詳しい専門家に相談してみてください。